今回は、英語での文書読解の指針、つまり英語で書かれた文章を上手に読むためのコツの紹介です。
前回に引き続き、Skills/Compétences CanadaというNPOによる以下のページに載っているワークブックの内容を参考にしました。

英語での文書読解の指針(スキミングとスキャニング)
参考:以下のワークブック(Skills/Compétences Canadaによる"Essential Skills
Work Ready Youth Program READING TEXT SKILLS WORKBOOK!")の186頁、187頁
https://yourskillsforsuccess.com/wp-content/uploads/2021/07/Writing-EN.pdf
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スキミング(skimming)とスキャニング(scanning)
英語圏の教育では、文章の読み方について、「スキミング」(skimming)と「スキャニング」(scanning)という技術を使うことを推奨することが多いです。
スキミング(skimming)とは、文章全体をざっと読んで、その文章がどんなことを書いているのかを、ごく短時間で把握することです。
スキャニング(scanning)とは、自分の知りたい情報が文章のどこにあるかを短時間で見つけ出すことです。
それぞれについて説明します。
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スキミング(skimming)
スキミングは、以下の場合に使う技術です。
・ 全体の意味を把握するために読む場合
・ 読んだ内容の具体的な詳細を記憶せず、大まかな理解が必要な場合
・ 検索範囲を絞り込み、読むべきものと無視すべきものを素早く判断する必要がある場合
スキミングは、「要点を掴む」ための読み方(reading to "get the gist")とも呼ばれています。
スキミングは、通常の読み方の3~4倍の速度で行います。
スキミングの手順
ステップ1
すべての単語を読まない!
目次、セクションタイトル、見出しがあればそれらを読む
意味を理解したり効率的にスキミング(ざっと読む)したりするのに役立つ書式上の手がかりを探す
・ 書式には、情報がページ上でどのように分割・提示されているかが含まれる。箇条書き、斜体や太字のテキスト、色付きテキストなどが該当する。
次の点を判断する:
・ 読み物の大まかな内容
全体の意味は、要約セクション(エグゼクティブサマリーや結論段落など)に書かれていることが多い
・ 読み物の構成
エグゼクティブサマリー、序文、目次、章立てなどがあるか
・ 読み物の目的
何のために書かれたのか?
ステップ2
図表、表、サイドバー、テキストを素早く見つけ、ざっと読む。太字、拡大、色付け、抜き出しされている情報を探す。重要な情報はこうした方法で強調されていることが多い。
ステップ3
記事のスキミングによって必要な情報を得られたかを判断する。スキミングは、その文章をそもそも読む必要があるかどうかを知るのに十分な、大まかな内容を与えてくれる。
自分に質問する:
・ 読んだ内容を簡潔に要約できるか?
・ 詳細を知るためさらに読む必要があるか?
・ 必要な情報を探すために別の記事を探す必要があるか?
スキャニング(scanning)
スキャニング(scanning)は、自分の知りたい情報が文章のどこにあるかを短時間で見つけ出すための読み方です。
ステップ1
探しているものを明確にする。例えば、
電話番号
商品の説明
操作手順
ステップ2
探している内容に合うキーワードを考え、その言葉を探す。
キーワードは完全一致でも類義語(似た意味の単語)でもよい。例えば、新しい電話のボイスメールのセットアップの手順を探す場合、「セットアップ」は「スタート」と置き換えられる可能性があり、「ボイスメール」は「メッセージ」と置き換えられる可能性がある。
情報を左から右、上から下、そして外周をスキャンする(探しながら素早く見る)
セクションタイトルや見出しもスキャンする
ステップ3
見つけた一致箇所を、その周辺の文脈を読みながら評価する。
キーワードが存在する部分のテキストだけを読む。他の無関係な部分は無視する。
ステップ4
見つけた情報と、探している情報を比較する。
質問する:これは自分が探しているものか?
質問する:これは論理的で関連性があり、正しいか?
ステップ5
探していたものを見つけたかどうかを判断する。
所感
スキミングとスキャニングは、いわゆる「速読」と呼ばれる特殊な技術ではなく、「ざっと見る」、「探しながら素早く見る」ことを意味します。
英語圏における文章読解の教育では、この「ざっと見る」、「探しながら素早く見る」ということが非常に重視されています。
例えば、米国の大学では、宿題として教科書の指定箇所を毎日読んでいくのですが、読まなければならない指定箇所は、1日100頁を超えます。これは、指定箇所のすべての単語を読んで来ることが求められているのではなく、スキミング、スキャニング、そして重要部分の精読を組み合わせることで、重要な内容を把握し、授業や課題で使えるようにして来ることが求められているのです。(精読が必要な範囲は、指定箇所全体の20%程度と言われています。)
そのような読み方の前提として、「何のために読むか」という目的をあらかじめ決めておくことが必要であり、この点(読む目的の設定)も英語圏における文章読解の教育で非常に重視されています。
文章の種類にもよると思いますが、文章を無目的に読み始めて、はじめから終わりまで一語一句読む、というスタイルは、英語圏では基本的に推奨されていません。
英語圏では、「全部読むこと」は「理解したこと」の証明にはならない。むしろ、限られた時間で膨大な資料から必要な情報を引き出し、自分の意見を構築する能力(情報の取捨選択)こそが、知性の証である、と考えられています。重要でないところを切る(読み飛ばす)ことも、重要なスキルと考えられているのです。
次回に続きます。
元塾 藤本豪


