前回の続きです。
今回は、人的・社会的・「学び方の学び」の能力(Personal, social and learning to learn competence)についてお話しします。

人的・社会的・「学び方の学び」の能力
人的・社会的・「学び方の学び」の能力(Personal, social and learning to learn competence)について、EUの「生涯学習のためのキー・コンピテンシー」では、次のとおり定められています。(欧州理事会の勧告(2018/C 189/01)の別紙の内容から一部を抜き出して紹介します。)
「人的・社会的・「学び方の学び」の能力とは、自己を省察し(reflect upon oneself)、時間と情報を効果的に管理し、建設的な方法で他者と協働し、強靭性を保ちながら(remain resilient)自身の学習とキャリアを管理する能力です。これには、不確実性や複雑性に対処する能力、学び方を学ぶ能力、身体的・情緒的(emotional)なウェルビーイングを支援する能力、心身の健康を保つ能力、健康を意識した(health-conscious)、将来を見据えた(future-oriented)生活を送る能力、包括的で支援的な環境において共感し、対立を管理する能力が含まれます。」
このコンピテンシーに関連する必須の知識、技能、および態度
「良好な対人関係と社会参加を実現するためには、様々な社会や環境において一般的に受け入れられている行動規範やコミュニケーションのルールを理解することが不可欠です。人的・社会的・「学び方の学び」の能力には、健全な心身と生活スタイルの構成要素(components)に関する知識も求められます。これには、自身の好ましい学習戦略の把握、能力開発の必要性の認識(knowing one’s competence development needs)、能力を伸ばす様々な方法の理解、そして利用可能な教育・訓練・キャリア機会や指導(guidance)・支援の探索(search)が含まれます。
スキルには、自身の力(capacities)を認識し、集中し、複雑な状況に対処し、批判的に考察し、意思決定を行う能力が含まれます。これには、協働的および自律的に(autonomously)学び働く能力、学習を計画し継続する能力、学習内容を評価・共有する能力、適切な支援を求める能力、そして自身のキャリアと社会的交流を効果的に管理する能力も含まれます。個人は強靭性を持ち(be resilient)、不確実性やストレスに対処できるべきです。様々な環境で建設的にコミュニケーションを取り、チームで協力し、交渉できるべきです。これには、寛容さを示し(showing tolerance)、異なる視点を表現・理解すること、および、信頼(confidence)を築き、共感する能力も含まれます。
この能力は、個人的・社会的・身体的なウェルビーイングおよび生涯にわたる学習に対する、前向きな姿勢に基づいています。協働、自己主張(assertiveness)、誠実さ(integrity)という態度が基盤となります。これには他者の多様性やニーズを尊重し、偏見を克服するとともに妥協する準備が整っていることも含まれます。個人は、目標を特定して設定することができ、自己を動機付けることができ、そして生涯にわたり学びを追求し成功させるための強靭性と自信を育めることができるべきです。問題解決の姿勢(problem-solving attitude)は、学習プロセスと、個人が障害(obstacles)や変化に対処する能力の両方を支えます。これには、これまでの学習や生活経験(life experiences)を活用しようとする意欲(desire)、そして様々な生活状況(life contexts)の中で学び成長する機会を探求する好奇心が含まれます。」
所感
このコンピテンシーは、心身の健康を保つ能力を含んでいます。
個人的には、「能力開発の必要性の認識」が必要だという点が良いと思いました。各人が自覚的に能力を伸ばしていくには、前提として、能力を伸ばすことが必要であると思っている必要がありますものね。
また、「協働、自己主張、誠実さという態度が基盤となります。」という部分に「自己主張」が入っていることも、私にとっては印象的でした。そのすぐ後に「妥協する準備が整っていること」という表現も入っています。しっかりと自己主張をしつつ、他方で妥協もしながら、他者と誠実にかかわり、協働していく、ということであると理解しました。
次回に続きます。
元塾 藤本豪


