前回に続き、教科における能力(Competence in the subjects)について、ノルウェーの教育訓練庁の説明を紹介します。

教科における能力(Competence in the subjects)

教科における能力(Competence in the subjects)について、ノルウェー教育訓練庁は、以下のとおり説明しています。

ノルウェー教育訓練庁のウェブサイト上の説明から一部を省略して紹介します。)

「学校は、教科における教育と訓練が、教育課程全体が基盤とする価値観および原則と結びついていることを理解しなければなりません。

教科内容の学習は、初等中等教育および訓練における教育的かつ総合的な発展の使命の重要な部分です。教科カリキュラムは各教科の内容を定め、能力(competence)についての以下の定義に基づいています。

能力(competence)とは、知識と技能を習得し応用して、慣れ親しんだ状況や未知の状況において課題を乗り越え(master challenges)、問題を解決する(solve tasks)能力です。能力には、理解力(understanding)、省察力(ability to reflect)及び批判的思考力(ability to think critically)が含まれます。

この能力概念の理解は、学校が教科カリキュラムに取り組む際、および生徒の教科における能力評価を行う際の基盤とならなければなりません。教科における能力目標は、教科内および教科横断的に総合的に考慮される必要があります。また、能力目標は、カリキュラムの目的条項(objective clause)およびその他の項目(sections)と関連付けて理解されなければなりません。

知識とは、様々な教科分野やテーマ領域における事実、概念、理論、考え(ideas)、およびそれらの関係性を知り(being familiar with)、理解することを意味します。技能とは、課題遂行や問題解決のために動作や手順を習得するために用いられるものであり、例えば運動技能、実践技能、認知技能、社会技能、創造的技能、言語技能などが含まれます。能力の概念には、教科における理解力、省察力、批判的思考力も含まれており、これらは理論的推論の理解(theoretical reasoning)や実践的課題の遂行に不可欠です。省察と批判的思考は、態度形成と倫理的判断力を育む過程の一部です。

学校は、生徒が教科の核心要素(key elements)や相互関係を理解し、既知・未知の文脈で教科の知識と技能を応用できるよう、深い学びの場(room for in-depth learning)を提供しなければなりません。教科学習においては、生徒に課題を与え、次第に複雑化する多様な活動に参加させる必要があります。深い学びとは、知識と技能を多様な方法で応用することを伴います。これにより、生徒は時間をかけて、科目における様々な課題(challenges)に、個人として、また他者との相互作用の中で対処できるようになります。

教師および学校長(school leaders)は、各科目の教育と訓練が、その最大の(overriding)目標、価値観、原則とどのように結びついているかを定期的に振り返る必要があります。」

所感

competence(能力)の定義

このブログでは、ノルウェーのコンピテンシーについて紹介しながらも、これまでcopetencyとかcompetenceという語が出てきませんでしたが、ここでようやくcompetence(能力)という語が出てきます。ノルウェー教育訓練庁は、competenceという語を、既知・未知の状況における問題解決能力(理解力、省察力、批判的思考力を含む)と定義づけていたのでした。

他方、このブログでは、国際比較の観点から、コンピテンシーという語をもっと広い意味で使っています。現時点では厳密な定義づけを行っていませんが、このブログで使っているコンピテンシーという語は、問題解決に限らず、「人と社会のウェルビーイングを実現するために必要な様々な能力」といった意味合いです。

理解力、省察力、批判的思考力の重視

いま紹介したcompetence(能力)の定義のところに、「能力には、理解力、省察力及び批判的思考力が含まれます。」と書かれています。ノルウェー教育訓練庁が、問題解決のためには「理解力」「省察力」「批判的思考力」が重要と考えていることが分かります。省察力とは、自分の経験、行動、学習内容を振り返って考える力のことです。批判的思考力については、このブログの「ノルウェーのコンピテンシー(批判的思考と倫理的意識)」で以前ご紹介したとおりです。

深い学びの実現

「学校は、生徒が教科の核心要素や相互関係を理解し、既知・未知の文脈で教科の知識と技能を応用できるよう、深い学びの場を提供しなければなりません。」と書かれています。これは日本の学習指導要領にも通じるところだと思いますし、おそらく他の国でも同じような考えをとっている国が多いのでしょう。

その他、今回ご紹介した「教科における能力」の内容は、全般的に、日本の学習指導要領と似ていると思いました。

次回に続きます。

元塾 藤本豪