最後に、「グローバル市民意識とサステナビリティ」(Global Citizenship and Sustainability)の定義及び内容についてご紹介します。
(出典は、カナダのCouncil of Ministers of Education(教育担当大臣協議会)による"PAN-CANADIAN GLOBAL COMPETENCIES BACKGROUNDER"です。)

「グローバル市民意識とサステナビリティ」の定義
「グローバル市民意識とサステナビリティ」の定義は、次のとおりです。
「グローバル市民意識とサステナビリティとは、多様な世界観(world views)や視点を考察し(reflecting)、現代の、相互接続された(connected)、相互依存的な(interdependent)、持続可能な世界において生きる上で非常に重要な(crucial)、生態学的・社会的・経済的課題(issues)を理解し、対処すること(addressing)を意味する。また、人々の多様性や多様な視点を尊重し(appreciation)、すべてのためのより良くより持続可能な未来を構想し(envision)実現する(work toward)能力(ability)を備えた、積極的な市民の精神(ethos of engaged citizenship)に必要な、知識、動機、姿勢(dispositions)、技能(skills)を獲得することも含まれる。」
「グローバル市民意識とサステナビリティ」に含まれる要素
「グローバル市民意識とサステナビリティ」には、以下の要素が含まれます。
• 生態学的、経済的、社会的要因(forces)とその相互関係(interconnectedness)、それらが個人、社会、国家に与える影響を理解する
• 持続可能なコミュニティの構築において、責任をもって、かつ倫理的に行動する
• 差別を認識し、平等、人権、民主的参加の原則を推進する
• 先住民族の伝統、知の体系(ways of knowing)、歴史を認識し、カナダへの歴史的・現代的貢献を尊重する(appreciates)とともに、寄宿学校(residential schools)のマイナスの遺産(legacy)を認識する
[筆者注:カナダには、先住民の子どもたちを家族やコミュニティから引き離して寄宿学校で教育し、先住民のアイデンティティを奪おうとした歴史があった。]
• 地域、国、世界、仮想コミュニティ(virtual community)の社会と文化に対し、責任ある、包摂的な(inclusive)、説明責任のある(accountable)、持続可能かつ倫理的な方法で貢献する
• 地域、国、世界の取り組み(initiatives)に参加し、プラスの変化をもたらす(make a positive difference)
• 多様な人々(diverse people)から学び、多様な人々と共に学び、異文化理解(cross-cultural understanding)を深める
• 安全かつ社会的責任のある(socially responsible)方法でネットワークに参加する
(藤本)この辺りは抽象的な言葉が多く、意味をつかみにくいですね。「倫理的」というのは具体的にどのような意味なのでしょうか。個人的には、「仮想コミュニティ」(virtual community)での活動を含めているのが印象的でした。
「グローバル市民意識とサステナビリティ」に関する生徒の活動
上記の内容を生徒の活動について当てはめると、以下のとおりです。
• 生徒は、生態学的、経済的、社会的要因(forces)とその相互関係(interconnectedness)を理解し、それらが個人、社会、国家に与える影響を把握する。
• 生徒は、現在および将来の全ての人々の生活の質(quality of life)を支える行動と責任ある決断を取る。
• 生徒は、差別を認識し、平等、人権、民主的参加の原則を推進する。
• 生徒は、知の体系(ways of knowing)、歴史を認識し、カナダへの歴史的・現代的貢献を尊重する(appreciates)とともに、寄宿学校(residential schools)のマイナスの遺産(legacy)を認識する。
• 生徒は、多様な人々(diverse people)から学び、多様な人々と共に学び、異文化理解(cross-cultural understanding)を深め、個人、社会、国家に影響を与える要因(forces)を理解する。
• 生徒は、地域、国、世界の取り組み(initiatives)に参加し、プラスの変化をもたらす(make a positive difference)。
• 生徒は、地域、国、世界、仮想コミュニティ(virtual community)の社会と文化に対し、責任ある、包摂的な(inclusive)、説明責任のある(accountable)、持続可能かつ倫理的な方法で貢献する。
• 生徒は、市民として、安全かつ社会的責任のある(socially responsible)方法でネットワークに参加する。
所感
個人的には、「生徒は、多様な人々から学び、多様な人々と共に学び、異文化理解を深め、個人、社会、国家に影響を与える要因を理解する。」というのが、良いなと思いました。
人や文化の多様性を尊重することの重要性は、いろんな国の教育ポリシーにおいて言われているところです。そして、その多様性はどこから生まれているのか、何が影響してつくられたものなのかということを理解することで、より尊重しやすくなるのだと思います。自分自身や自分の属する社会の文化を含め、様々な文化について、それに影響力を与えている外部的要因を理解することは、人々や文化の差異を相対的にとらえることを可能にし、その多様性を尊重することに繋がるのではないでしょうか。
次回に続きます。
元塾 藤本豪


