これから、カナダのコンピテンシー(Pan-Canadian Global Competencies)を一つ一つ紹介していきます。

最初は、「批判的思考と問題解決」(Critical Thinking and Problem Solving)です。

(出典は、カナダのCouncil of Ministers of Education(教育担当大臣協議会)による"PAN-CANADIAN GLOBAL COMPETENCIES BACKGROUNDER"です。)

「批判的思考と問題解決」(Critical Thinking and Problem Solving)の定義

最初は、「批判的思考と問題解決」(Critical Thinking and Problem Solving)です。

「批判的思考と問題解決」の定義は、次のとおりです。

「批判的思考と問題解決とは、情報の収集、処理、分析、解釈を通じて複雑な課題(issues)や問題(problems)に取り組み、情報に基づいた(informed)判断や意思決定を行うことを指す。問題を理解し解決するための認知プロセスに従事する能力には、建設的で内省的な(reflective)市民として自分の可能性を発揮(achieve one’s potential)しようとする意欲(willingness)も含まれる。学習は、意味のある(meaningful)、現実の世界(real-world)での、本物の(authentic)経験の中でなされることによって、深められる。」

(藤本)「批判的思考」という言葉からは、「批判的に考える」「懐疑的に考える」ということが連想されますが、このカナダの定義は「情報に基づいた(informed)判断や意思決定」としており、「批判的に考える」「懐疑的に考える」といった語を含んでいません。「根拠をもって合理的に考える」という意味なんですね。このコンピテンシーの名称からわかるとおり、カナダのコンピテンシーの定め方では「批判的思考」と「問題解決」がセットのように扱われています。そして、「学習は、意味のある、現実の世界での、本物の(authentic)経験の中でなされることによって、深められる。」とあるように、実生活との結びつきが重視されているのもポイントと思います。

「批判的思考と問題解決」に含まれる要素

「批判的思考と問題解決」は、次の要素を含みます。

• 意味のある(meaningful)、現実の(real-life)、複雑な問題(problems)を解決する

• 問題に対処するための具体的な手段を講じる

• プロジェクトを設計し管理する

• 情報の収集、処理、統合(synthesize)、解釈、批判的分析を行い(critically analyze)、情報に基づいた意思決定を行う(批判的リテラシー、デジタルリテラシー、データリテラシー)

 • 問題解決のための探究プロセスに取り組む

 • パターンを見出し、つながりを理解し、学んだことを別の状況(現実世界での応用を含む)に適用する

 • 知識を結びつけ、構築し(construct)、関連づけ(relate)、学校・家庭・職場・友人・地域社会など、生活のあらゆる領域に適用する

 • 社会システム、経済システム、エコロジカル・システムの機能および相互関係を分析する

(藤本)ここで「批判的分析を行う(critically analyze)」という言葉が出てきました。これは「情報を疑ってかかる」ということですね。一番上に、「意味のある、現実の、複雑な問題を解決する」と書かれており、後の方で「現実世界での応用を含む」とも書かれています。「問題解決」は、机上の問題だけで終わってはならず、現実世界での問題を解決する能力を身に着けなければならない、ということです。

「批判的思考と問題解決」に関する生徒の活動

上記の内容を生徒の活動について当てはめると、以下のとおりです。

• 生徒は、課題(issues)に対処するための具体的なステップを踏むことで、意味のある(meaningful)、現実の(real-life)、複雑な問題(problems)を解決し、プロジェクトを設計、管理する。

• 生徒は、問題解決のための探究プロセスに取り組み、情報の収集、処理、解釈、統合(synthesize)、批判的分析(critically analyze)を行い、情報に基づいた意思決定を行う(すなわち、批判的リテラシー、デジタルリテラシー、データリテラシー)。

• 生徒は、パターンを見出し、つながりを理解し、学んだことを別の状況(現実世界での応用を含む)に適用する。

• 生徒は、学校、家庭、職場、友人、地域社会など、生活のあらゆる領域に知識を構築し(construct)、関連づけ(relate)、適用する。

• 生徒は、社会システム、経済システム、エコロジカル・システムについて、その機能および相互関係を分析する。

(藤本)先ほどから繰り返し述べておりますが、現実世界での適用が非常に重視されていますね。実社会、実生活の中で発揮できてこそ、このコンピテンシーが育ったといえるのでしょう。

次回に続きます。

元塾 藤本豪