前回の続きです。

今回から、英国政府が行おうとしている教育改革の内容(全10項目)を紹介していきます。

出典: https://assets.publishing.service.gov.uk/media/690b2a4a14b040dfe82922ea/Government_response_to_the_Curriculum_and_Assessment_Review.pdf

世界をリードするカリキュラム(world-leading curriculum)を構築する

「世界をリードするカリキュラムを構築します。生徒が教科の習得(subject mastery)とカリキュラムの確固たる理解を達成できるよう、レビューの提言に沿って各教科の学習プログラムを刷新し、2027年に改訂版ナショナル・カリキュラムを公表、2028年度より初年度指導を開始します。また、2029年以降の初年度授業に向け、GCSE【筆者注:英国の学位認定制度(General Certificate of Secondary Education)】も更新します。その際、カリキュラムの原則である一貫性(coherence)、教科の習得、深み(depth)を重視し、学習プログラムと教科内容が重要な知識と専門的技能(disciplinary skills)に基づいていることを確実にします。言語科目においては、GCSEよりも早い段階で生徒の達成度を認定し、学習継続と言語能力向上の動機付けとなる資格(qualifications)の実現可能性を検討します。」(9頁)

【筆者注:文中に出てくる「レビュー」とは、2025年11月5日付け「カリキュラム及び評価の見直し 全生徒のための世界クラスのカリキュラムの作成」(Curriculum and Assessment Review  Building a world-class curriculum for all)を指します。

https://assets.publishing.service.gov.uk/media/690b96bbc22e4ed8b051854d/Curriculum_and_Assessment_Review_final_report_-_Building_a_world-class_curriculum_for_all.pdf】

これは、今回の教育改革の骨子となる目標ですね。他にも、以下の内容が書かれています。

「私たちは、深さ、具体性、一貫性、中核概念の習得(mastery of core concepts)、知識、専門家の自律性(professional autonomy)、代表性(representation)など、レビューのカリキュラム原則を採用します。また、この原則を採用することで、教師が新しいカリキュラムを教えるために、エビデンスに基づいたアプローチを選択できるようにします。」(12頁)

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芸術教育の改善

「私たちは、改革されたナショナル・カリキュラムの一部として、またこれらの科目の教師に対する質の高い支援を通じて、芸術教育を活性化します。」(9頁)

芸術教育(arts education)の活性化が目標の一つとされています。なぜ芸術科目が重視されるのでしょうか。その理由について、以下のとおり述べられています。

「カリキュラムは、豊かで幅広い教育の基礎となる芸術科目を含む、すべての科目において充実したものであるべきです。芸術科目は、オプショナルな追加科目ではなく、それ自体が権利(entitlement)であり、優れた学校が専門知識と厳しさをもって教える独自の教育法を備えています。例えば、創造的な科目を学ぶことで、生徒たちは創造的な努力のプロセスを活用し、独創的な作品を生み出し、流暢なコミュニケーションやチームワークを身につけることができます。この政府のもとで、質の高い芸術教育を受けることは、一部の特権階級のものではなく、すべての子どもたちの権利となります。そのため私たちは、改革されたナショナル・カリキュラムの一部として、またこれらの教科の教師に対する質の高い支援を通じて、芸術教育を活性化させることを約束します。音楽ハブ(music hubs)への継続的な投資に加え、私たちは、芸術教育を推進し、教師育成プログラムを通じて質の高い教育を可能にする、新しい国立芸術音楽教育センター(National Centre for Arts and Music Education)を立ち上げます。」(14-15頁)

所感

「世界をリードするカリキュラム」(world-leading curriculum)とは、大きく出ましたね。

芸術教育の活性化が目標の一つとされていることは、とても興味深いです。

ここで芸術科目は、

  • 創造性
  • コミュニケーション
  • チームワーク

の能力を伸ばすための、重要な科目ととらえられています。

芸術教育の活性化を目標の一つとしているのは、今後の社会においてこれらの能力がますます重視されることになるだろうとの予測に基づくものと思われます。

次回に続きます。

元塾 藤本豪