2025年11月、英国政府が今後の教育の方針について発表しました。重要な内容を含むと思われますので、何回かに分けて紹介します。

英国の教育改革
2024年7月、英国政府はベッキー・フランシス教授に、カリキュラム・評価見直しを実施する専門家パネルの招集と議長を依頼しました。
これを受けて同教授はパネルを招集し、2025年11月5日、「カリキュラム及び評価の見直し 全生徒のための世界クラスのカリキュラムの作成」(Curriculum and Assessment Review Building a world-class curriculum for all)と題する最終報告書を提出しました。
その後、すぐに英国政府がこの報告書を確認(confirm)し、「カリキュラム及び評価の見直しへの政府回答」(Government response to the Curriculum and Assessment Review)を出しました。
新カリキュラムは2028年9月からの初年度授業で全面実施される予定であり、英国政府は、2027年春までに最終改訂版を公表することとされています。
教育改革の背景となった問題意識
今回の英国の教育改革は、「急速に変化する世界で生き抜き適応するために必要な基礎的な知識や技能を身につけることなく学校教育を離れていく若者が多過ぎる」という問題意識からなされたものです。
「現在の制度を通じて成功している若者は多いものの、急速に変化する世界で生き抜き適応するために必要な基礎的な知識や技能を身につけられないまま、全日制教育を離れる者が依然として多すぎます。政府が将来を見据えるにあたり、課題は明らかです。教育システム全体が、例外なく全ての子どもと若者の志と水準を高めることを保証しなければなりません。」(「カリキュラム及び評価の見直しへの政府回答」7頁)
「情報の共有、受領、作成の方法は過去30年間で根本的に変化しており、事実がますます争われる世界において、改訂されたカリキュラムは若者が困難な問題について情報に基づいた批判的思考を行うことを支援すべきだと考えます。本レビューでは、確固たる知識の価値(value of secure knowledge)、疑問を投げかけ批判的に探究するプロセス、情報源を横断した証拠の評価手法の重要性が強調されました。急速に変化する社会経済的課題や破壊的技術(disruptor technologies)の新興という状況下において、こうした基盤を確固たるものとした若者こそが、既存の知識を活用し、複雑な世界を適切にナビゲートし、事実と意見や主張とを区別できると私たちは確信しています。」(23頁)
教育改革の概要
上記の問題意識から、英国政府は、以下の改革を行おうとしています。
- 世界をリードするカリキュラム(world-leading curriculum)を構築する
- 芸術教育の改善
- 全国共通カリキュラムを、完全にデジタル化され、容易に閲覧可能な形で作成する
- 全ての子どもの水準を引き上げる(Deliver high standards for all)
- 変化する世界における人生とキャリアに向けて若者を育成する
- 説明責任(accountability)と評価の改善
- 16歳以降の英語と数学
- 16~19歳の教育の改革
- 学校および教員が新カリキュラムに対応できるよう、十分な準備期間を設ける
- すべての子どもに充実プログラムの権利(enrichment entitlement)を提供する
次回から、それぞれの内容について紹介していきます。
元塾 藤本豪


