今回から、米国の「P21 フレームワーク」(P21 Framework)について紹介します。

P21フレームワークは、国や州ではなく、企業・教育機関・政府関係者が連携して定めたものですが、米国における教育に大きな影響力をもっています。

「P21 フレームワーク」(P21 Framework)

2002年、米国で、P21(Partnership for 21st Century Skills)というNPOが、大企業、教育団体、教育関係者、政府関係者等をメンバーとして設立されました。例えば、AOLタイムワーナー財団、Apple、Cisco、Dell、Microsoft、SAP 、全米教育協会(NEA)、米国教育省(Department of Education)等です。

P21は、「21世紀に生きるための成功を支える知識・スキル・態度の統合的な学び」を理念として、単なる知識習得ではなく、それを社会でどう使うかに焦点をあて、学びのフレームワーク(枠組み)を提示しました。その代表的なものが「P21 フレームワーク」(P21 Framework)です。

「P21 フレームワーク」は、米国における多くの州の教育部門によって参考とされ、各州の教育方針(教育課程や評価基準)に影響を与えています(影響の大きさは州によって異なります。)。

以下に、「P21 フレームワーク」」の前文の訳を載せます(https://files.eric.ed.gov/fulltext/ED519462.pdfから抜粋して和訳)。

「P21 フレームワーク」の前文

「実践者(practitioners)が中核的教科(core academic subjects)の指導にスキルを統合できるよう支援するため、当パートナーシップは「21世紀型学習のフレームワーク」(Framework for 21st Century Learning)と呼ばれる統一された学習ビジョンを策定しました。本フレームワークは、仕事と生活(work and life)で成功するために生徒が習得すべきスキル、知識、専門性を定義するものであり、内容知識、特定のスキル、専門性、リテラシーを融合したものです。

21世紀型スキルの導入実践(implementation)には、全ての生徒における中核的教科知識(core academic subject knowledge)と理解の育成が不可欠です。批判的思考と効果的なコミュニケーション能力を身につけるためには、中核的教科知識の基盤が必須となります。

中核的知識を指導する場面(context)において、生徒は批判的思考、問題解決、コミュニケーション、協働といった、今の世の中で成功するために不可欠なスキルも習得しなければなりません。

学校や地域がこの基盤(foundation)を築き、フレームワーク全体と必要な支援システム(基準、評価、カリキュラムと指導、専門能力開発、学習環境)を組み合わせることで、生徒は学習プロセスにより深く関与し、現代のグローバル経済で成功するために十分な準備を整えて(better prepared to thrive in today’s global economy)卒業することができます。

図表では説明のために各要素を個別に示していますが、パートナーシップは21世紀の教育と学習のプロセスにおいて、すべての構成要素が完全に相互に関連している(fully interconnected)と捉えています。」

所感

この前文を読むかぎり、P21フレームワークは、中核的教科(おそらく、多くの学校で必修となっている教科を指すのだと思われます。)の指導を通じて生徒に幅広いスキルを習得させるという考え方を基礎としているようです。その目的は、生徒が「現代のグローバル経済で成功するために十分な準備を整えて卒業すること」です。

P21フレームワークの特徴は、教育団体と大企業などの協働によって作成されたものという点にあります。個人的には、教育の視点と企業の視点とがうまく組み合わされた、とても参考になる内容と考えていますので、次回からP21フレームワークの中身について紹介していきます。

元塾 藤本豪