前回に続き、一つ一つのコンピテンシーの意味内容を見ていきます。

今回は、学び方の学び(Learning to Learn)についてです。

学び方の学びを主要コンピテンシーとして定めている国・地域・組織

このブログで取り上げた17の国、地域、組織のうち、コンピテンシーの一つとして「学び方の学び」(Learning to Learn)を挙げているのは、カナダ、ノルウェー、EU、エストニア、スペイン、ケニアです。

他の国も、多くは生涯学習(lifelong learning)を強く意識しているので、「学び方の学び」を重視しているものと思われます。

カナダ

カナダでは、学び方の学び(Learning to Learn)について、次のとおり定めています。

このブログで以前に「自己認識と自己管理」と併せて紹介しましたが、そこから「自己認識と自己管理」の部分を削除して載せます。)

学び方の学び(Learning to Learn)

学び方を学ぶとは、学習プロセスにおける主体性(agency)を自覚し示すことだ。これには動機づけ、粘り強さ(perseverance)、強靭さ(resilience)、自己調整(self-regulation)を支える姿勢(dispositions)の育成が含まれる。自身の学習能力への信頼(belief)(成長のマインドセット)と、過去・現在・未来の目標、潜在的な行動や戦略および結果を、計画し、監視し(monitoring)・振り返る(reflecting)という手法(strategies)とを組み合わせる。自己省察(self-reflection)と思考についての思考(メタ認知)は、絶えず変化する世界(ever-changing world)における生涯学習、適応能力(adaptive capability)、ウェルビーイング、そして学習の転移(transfer of learning)を促進する。

「学び方の学び」には、以下の要素が含まれます。

  • 学習のプロセスを学ぶ(メタ認知)(例:自立性(independence)、目標設定、動機付け)
  • 学び成長する能力を信じ(believe)(成長マインドセット)、学習の進捗を監視する(monitor)
  • 育面における目標を策定し(develop)、それらを達成するために困難を乗り越えるよう粘り強く取り組む(persevere)
  • 思考・経験・価値観・批判的フィードバックを内省し(reflect)、学習を深化させる(enhance learning)

リンク

https://static1.squarespace.com/static/5af1e87f5cfd79c163407ead/t/5c6597f353450a15233b6e7c/1550161912721/Pan-Canadian+Global+Competencies+Backgrounder_EN.pdf

ノルウェー

ノルウェーでは、学び方の学び(Learning to learn)について、次のとおり定めています。

学び方の学び(Learning to learn)

学校は、生徒が自らの学習を振り返り、学習プロセスを理解し、自主的に知識を獲得できるよう支援しなければなりません。

自らの学習プロセスや教科における成長を理解することは、生徒の自立心と習得感(sense of mastering)の育成に寄与します。教育と指導は生徒の意欲を高め、良好な学習態度と学習戦略を促進し、生涯学習(lifelong learning)の基盤を形成するものです。これは、教師が生徒の発達を注意深く観察し、年齢・成熟度・機能レベル(functional level)に応じた適切な支援を提供しなければならないということです。

学習について、自らの学習と他の生徒の学習の両方を振り返ることで、生徒は次第に自らの学習プロセスに対する認識を育んでいきます。質問をつくり(formulate questions)、答えを求め(seek answers)、理解を様々な方法で表現することを学ぶ生徒は、次第に自らの学習と成長において主体的な役割を担えるようになります。各教科における課題に取り組むことで、生徒は各教科をどのように学び、自らがどのように発達していくかについての知識を獲得します。知識分野間の関連性を理解し、知識を批判的に習得・共有・活用するための多様な戦略を身につけることで、より深い洞察力(deeper insight)が育まれます。

リンク

https://www.udir.no/lk20/overordnet-del/prinsipper-for-laring-utvikling-og-danning/2.4-a-lare-a-lare?lang=eng

エストニア

エストニアでは、学び方の学び(Learning to learn)について、次のとおり定めています。

学び方の学び(Learning to learn)

学び方の学びとは――

  • 学習環境を整え、学習に必要な情報を入手する能力
  • 学習計画を立て、その計画に沿って進める能力
  • 学習の成果(学習スキルや戦略を含む)を様々な状況や問題解決に活用する能力
  • 自身の知識やスキル、長所と短所を分析し、それに基づいてさらなる学習の必要性を判断する能力

リンク

https://www.riigiteataja.ee/en/compare_wordings?grupiId=100391&vasakAktId=524092014014&utm

スペイン

スペインでは、学び方の学びの能力(Competencia de aprender a aprender)について、次のとおり定めています。

学び方の学びの能力(Competencia de aprender a aprender)

学び方の学びの能力とは(中略)生涯にわたる学習を管理する能力を意味します。

リンク

https://educagob.educacionfpydeportes.gob.es/curriculo/curriculo-lomloe/menu-curriculos-basicos/ed-primaria/competencias-clave/personal-social.html

ケニア

ケニアでは、学び方の学び(Learning to Learn)について、次のとおり定めています。

学び方の学び(Learning to Learn)

学習とは、誕生から始まり死に至るまで続く継続的なプロセスであり、私たちが経験を活用して新たな状況に対処し、人間関係を築く過程です。概念として、思考を超える広範な領域を包含しており、感覚、感情、直感、信念、価値観、意志といった人格全体が関与します。学ぶ意志がなければ、私たちは学べません。そして学んだならば、何らかの形で実際に変化しているのです。もし学習が変化をもたらさないならば、それは意識の中を漂う無作為な考えに過ぎず、ほとんど意味を持ちません。

「学び方を学ぶ」とは、個人でも集団でも、時間と情報を効果的に管理することで自らの学習を組織化し、学習を追求し継続する能力を指します。この能力には、自身の学習プロセスとニーズへの自覚、利用可能な機会の特定、そして成功裏に学ぶための障害を克服する能力が含まれます。この能力とは、新たな知識や技能を獲得し、処理し、吸収すること、そして指導を求め活用することを意味します。学び方を学ぶことは、学習者が過去の学習や人生経験に基づいて、様々な状況で知識や技能を活用し応用する手助けとなります。学習には四つの柱があります:知ることを学ぶこと、行うことを学ぶこと、あるべき姿を学ぶこと、そして共に生きることを学ぶことです。

リンク

https://kicd.ac.ke/wp-content/uploads/2019/08/BASIC-EDUCATION-CURRICULUM-FRAMEWORK-2019.pdf

所感

「学び方の学び」は、自分にあった学習法を見つけるというだけでなく、「学習し続けることのできる人になる」ということです。学びたいという意欲、目標の設定、計画の作成、粘り強く学習を続けること、結果を振り返って目標や計画、学習方法などを必要に応じて変更していくことなどを含みます。

以前、「勉強をすることができるのも才能のうち」という言葉を耳にしたことがあります。その人は、学習に向けたモチベーションや意欲、粘り強さを含めて「才能」と言っていたのだと思います。「学び方の学び」は、それを「才能」(生まれつきのもの)ではなく「能力」ととらえ、教育によって伸ばしていこうとする発想です。

ところで、ケニアが「学習には四つの柱があります:知ることを学ぶこと、行うことを学ぶこと、あるべき姿を学ぶこと、そして共に生きることを学ぶことです」と書いています。これは名言ですね。

次回に続きます。

元塾 藤本豪