前回の続きです。
今回は、サステナビリティ(Sustainability)についてです。

サステナビリティを主要コンピテンシーとして定めている国・地域・組織
このブログで取り上げた17の国、地域、組織のうち、コンピテンシーの一つとしてサステナビリティ(Sustainability)や環境保護について挙げているのは、カナダ、ノルウェー、米国(P21 Framework)、フィンランド、エストニア、ブラジル、インドです。
国連が2015年に定めたSDGs(Sustainable Development Goals)は世界的な運動ですので、他の国でもサステナビリティと環境保護に関する教育は重視されていると思われます。
カナダ
カナダでは、「サステナビリティ」(Sustainability)について、次のとおり定めています。
(このブログで以前紹介した内容から「グローバル市民意識」の部分を削除したものです。)
サステナビリティ(Sustainability)
「サステナビリティ」には、以下の要素が含まれます。
- 生態学的、経済的、社会的要因(forces)とその相互関係(interconnectedness)、それらが個人、社会、国家に与える影響を理解する
- 地域、国、世界、仮想コミュニティ(virtual community)の社会と文化に対し、責任ある、包摂的な(inclusive)、説明責任のある(accountable)、持続可能かつ倫理的な方法で貢献する
- 地域、国、世界の取り組み(initiatives)に参加し、プラスの変化をもたらす(make a positive difference)
上記の要素を生徒の活動について当てはめると、以下のとおりです。
- 生徒は、生態学的、経済的、社会的要因(forces)とその相互関係(interconnectedness)を理解し、それらが個人、社会、国家に与える影響を把握する。
- 生徒は、現在および将来の全ての人々の生活の質(quality of life)を支える行動と責任ある決断を取る。
- 生徒は、地域、国、世界の取り組み(initiatives)に参加し、プラスの変化をもたらす(make a positive difference)。
- 生徒は、地域、国、世界、仮想コミュニティ(virtual community)の社会と文化に対し、責任ある、包摂的な(inclusive)、説明責任のある(accountable)、持続可能かつ倫理的な方法で貢献する。
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ノルウェー
ノルウェーでは、「自然への敬意と環境意識」(Respect for nature and environmental awareness)と「持続可能な発展」(Sustainable development)について、それぞれ次のとおり定めています。
自然への敬意と環境意識(Respect for nature and environmental awareness)
学校は、生徒が自然を享受し尊重する心を育み、気候と環境への意識を高められるよう、自然への感謝(appreciation of nature)を深めることを支援しなければなりません。
人間は自然の一部であり、その十分な保護(taking good care of)に責任を負っています。生徒は就学期間を通じて、自然に関する知識を習得し、自然への敬意を育む必要があります。生徒は、自然を体験し、資源として、また有用性(utility)、喜び(joy)、健康、学びの源として捉えることが求められます。生徒は、私たちの生活様式が自然や気候、ひいては社会に与える影響について認識を深めなければなりません。学校は、生徒が環境保護への意欲を育むよう支援します。
子どもや若者は、現在と将来の課題(today’s and tomorrow’s challenges)に対処する必要があります。私たちの共通の未来は、次世代に、そして世界を守ろうとする次世代の意志と能力にかかっています。地球規模の気候変動、汚染、生物多様性(biological diversity)の喪失は、世界が直面する最大の環境的脅威の一部です。これらの課題は共に解決しなければなりません。地球上の生命を守るためには、解決策を見出し、生活様式に必要な変化をもたらすよう、知識、倫理的意識、技術革新が必要です。
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持続可能な発展(Sustainable development)
学校における教科横断的テーマ(interdisciplinary topic)としての持続可能な発展は、生徒が社会における基本的なジレンマや動向(developments)、そしてそれらに対処する方法を理解する助けとなるものでなければいけません。持続可能な発展とは、地球上の生命を保護し、現在ここに住む人々のニーズを満たしつつ、将来の世代がそのニーズを満たす可能性を損なわないことを指します。持続可能な発展は、社会的・経済的・環境的条件が相互に関連している(interconnected)という理解に基づいています。私たちの生活様式や資源消費は、地域的(local)、広域的(regional)、そして地球規模の結果をもたらします。
生徒は、このテーマに取り組むことで、責任ある選択を行い、倫理的かつ環境意識を持って行動する能力を養わなければなりません。生徒は、あらゆる個人の活動や選択が重要であることを理解する必要があります。このテーマには、環境と気候、貧困と資源の分配、紛争、健康、平等、人口動態、教育に関連する問題が含まれます。生徒は持続可能な発展の様々な側面について学ばなくてはなりません。
テクノロジーは、人間、環境、社会に多大な影響を及ぼします。したがって、テクノロジーの能力と、テクノロジーと持続可能な発展の社会的・経済的・環境的側面との関連性に関する知識が、ここでの重要な議論点(discussion points)となります。テクノロジーの発展は問題解決に寄与する一方で、新たな問題を生み出す可能性もあります。テクノロジーに関する知識とは、テクノロジーの利用によって生じうるジレンマを理解し、それらに対処する方法を学ぶことを意味します。
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米国(P21 Framework)
米国(P21 Framework)では、環境リテラシー(Environmental Literacy)について、次のとおり定めています。
環境リテラシー(Environmental Literacy)
- 環境および環境に影響する状況や条件、特に大気、気候、土地、食料、エネルギー、水、生態系に関する知識と理解を示すこと
- 自然界に対する社会の影響(例:人口増加、人口動態、資源消費率など)に関する知識と理解を示すこと
- 環境問題を調査・分析し、効果的な解決策について正確な結論を導き出すこと
- 環境課題への取り組みに向け、個人および集団としての行動をとること(例:国際的な活動への参加、環境問題への行動を促す解決策の設計)
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https://files.eric.ed.gov/fulltext/ED519462.pdf
フィンランド
フィンランドでは、「倫理、環境の面の素養」(Ethical and environmental competence)について、次のとおり定めています。
倫理、環境の面の素養(Ethical and environmental competence)
- 共通の利益(common good)のための、価値に基づく(value-based)倫理的な行動
- 自然の多様性の尊重;研究に基づく気候変動対策
- 循環型経済と持続可能な消費行動の尊重
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エストニア
エストニアでは、「環境と持続可能な発展」(environment and sustainable development)について、次のとおり定めています。
環境と持続可能な発展(environment and sustainable development)
「環境と持続可能な発展」の学習目標は、生徒が、環境を保全・保護するとともに、持続可能性を重視すること(valuing)によって環境と人間開発に関連する課題の解決策を見出すことのできる、社会的に積極的で(socially active)責任感があり環境意識の高い(environmentally conscious)人物となることです。
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https://www.riigiteataja.ee/en/compare_wordings?grupiId=100391&vasakAktId=524092014014&utm
ブラジル
ブラジルでは、事実に基づいて議論し、人権や環境を尊重する判断を行う力について、次のとおり定めています。
事実に基づいて議論し、人権や環境を尊重する判断を行う力
信頼できる事実、データ、情報に基づいて議論し、人権、社会環境意識、地方、地域、地球規模での責任ある消費を尊重し促進する共通の考え、視点、決定を策定、交渉、擁護する。自分自身、他者、地球のケアに関して倫理的な立場をとる。
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https://www.gov.br/mec/pt-br/escola-em-tempo-integral/BNCC_EI_EF_110518_versaofinal.pdf
所感
個人的には、カナダの「現在および将来の全ての人々の生活の質を支える」、ノルウェーの「人間は自然の一部」、ブラジルの「信頼できる事実、データ、情報に基づいて議論し」という部分が、とくに印象に残りました。本質的な内容と思います。
次回に続きます。
元塾 藤本豪


