前回、シンガポールの「21世紀のコンピテンシー」の内容を紹介しました。今回はその続きです。

「強化された21世紀のコンピテンシー」

2023年、シンガポールの教育省は、「21世紀のコンピテンシー」の内容を強化しました。これが「強化された21世紀のコンピテンシー」(The Enhanced 21st Century Competencies)です。

https://www.moe.gov.sg/news/press-releases/20230920-more-support-for-schools-and-students-to-shape-the-future-of-learning

どのように強化されたかというと、以前よりさらに、次の3つに点が置かれることになりました。

・ 適応的・創造的思考(adaptive and inventive thinking)

・ コミュニケーション

・ 市民リテラシー(civic literacy)

「適応的思考」と「創造的思考」

「適応的思考」(adaptive thinking)とは、変化や不確実性に柔軟に対応できる思考力という意味です。新しい状況や予測不能な問題に直面したときに、柔軟に思考や行動を切り替える。既存の知識やスキルを新しい文脈に応用する。一つの正解に固執せず、状況に応じて最適解を見つけようとする。こういったことを実現させる思考力ということです。

これに対し、「創造的思考」(inventive thinking)とは、新しい発想、新しい解決方法、新しい価値などを生み出す思考力ということです。

「強化された21世紀のコンピテンシー」では、「適応的・創造的思考」(adaptive and inventive thinking)というように、両者が組み合わされて用いられています。これは、変化への対応とともに、新たなものを生み出す力が重視されていることの表れであると思われます。

「批判的思考」が外されているのはなぜ?

ここでは、「21世紀のコンピテンシー」に含まれている「批判的思考」(critical thinking)が外されていますが、これは、批判的思考が重視されていないということではなく、批判的思考は基礎スキルとして引き続き重視されるものの、時代の要請(VUCA対応、イノベーション重視)から、適応的・創造的思考を従来よりも一層重視することにした、ということのようです。

次回に続きます。

元塾 藤本豪