シンガポールの教育方針についてご紹介した次は、カナダのコンピテンシーについて書こうと思います。

カナダのコンピテンシーは説明が分かりやすい
なぜカナダを選んだかというと、各国の定めるコンピテンシーをいろいろ見てきたうえで、カナダの定め方が、私(藤本)にとって一番わかりやすいと感じたからです。日々仕事をする中で、そして生活する中で、「こういう能力が確かに必要だよね」という、ごく当たり前の、ごく普通な内容が、定義や具体例とともに書かれています。よく整理されていて分かりやすいです。
なぜ分かりやすいかというと、カナダの定めるコンピテンシー(グローバルコンピテンシー)には拘束力がなく、各州がそれを参考に独自のコンピテンシーを定めるという前提でつくられた、参照用のものだからと思います。
① 拘束力がないので、良くも悪くも現場の実情や様々なしがらみの影響を受けにくく、
② 各州の実情は各州が考慮してくれるので、汎用性の高い内容にしやすく、
③ 参考のためのものなので、
よく整理された、読んで分かりやすいものになったのでしょう。
カナダの6つのコンピテンシー
カナダの定めるコンピテンシー(グローバルコンピテンシー)(Pan-Canadian Global Competencies)は、次の6つです。
・ 批判的思考と問題解決(Critical Thinking and Problem Solving)
・ イノベーション、創造性、アントレプレナーシップ(Innovation, Creativity, and Entrepreneurship)
・ 学び方の学び / 自己認識と自己管理(Learning to Learn / Self-Aware & Self-Directed)
・ 協働(Collaboration)
・ コミュニケーション(Communication)
・ グローバル市民意識とサステナビリティ(Global Citizenship and Sustainability)
いかがでしょう。普通ですよね。他の国々の定めるコンピテンシーも、差異はあれど、まとめるとだいたいこんな感じです。カナダの定めるコンピテンシー(Pan-Canadian Global Competencies)は、「標準的なものを網羅しており、基本に忠実で、手堅い」という印象を受けます。しかも、それぞれの説明がわかりやすく書かれているので、私(藤本)にとって、とてもありがたいのです。
コンピテンシーの記事は「今さら感」あり?
日本の学習指導要領がコンテンツベースからコンピテンシーベースに舵を切ったのは、平成29・30・31年告示でした。「コンピテンシーとは何か」「どのコンピテンシーを重視すべきか」「それをどのように定めるべきか」という議論は、その際に盛んになされたはずですので「今さらコンピテンシーの記事かよ。」と思う方もおられると存じます。
しかし、コンピテンシーとは、子ども・若者たち(そして大人たちも)一人ひとりに伸ばしていってほしい能力であり、教育の重要な目標です。また、子ども・若者たちにとっても、社会に出たときにどのような能力が必要とされるかを幅広くかつ明確に自覚しておくことは、自らの成長の方向性について考える際の材料となるという点においても、動機づけの点においても、有益であると考えます。
平成29・30・31年学習指導要領の「三つの柱」は、内実としては、上記のカナダを含む各国の定めるコンピテンシーやOECD Learning Compass 2030のコンピテンシーを概ね包含しているのではと理解しています。ただ、書き方がふわっとしていますよね。もし具体的な言葉で子どもたちに語ろうと思ったときは、今から紹介するカナダのコンピテンシー(Pan-Canadian Global Competencies)が参考になるのではないかと考えています。汎用性が高く、しかも分かりやすいからです。
次回に続きます。
元塾 藤本豪


