5番目に、「コミュニケーション」(Communication)の定義及び内容についてご紹介します。
(出典は、カナダのCouncil of Ministers of Education(教育担当大臣協議会)による"PAN-CANADIAN GLOBAL COMPETENCIES BACKGROUNDER"です。)

「コミュニケーション」の定義
「コミュニケーション」の定義は、次のとおりです。
「コミュニケーションとは、様々な状況(contexts)、相手(audiences)、目的に応じて意味を受け取り、表現することである(例えば、読むことと書くこと、見ること(viewing)と制作すること(creating)、聞くことと話すこと)。効果的なコミュニケーションには、地域的視点と世界的視点、社会的・文化的背景(contexts)を理解することがますます求められる。そして、適切に、責任を持って、安全に、自己のデジタルフットプリントを考慮しながら、様々な媒体(media)の利用を適応させ、変化させることも、ますます求められる。」
(藤本)この定義で特徴的だなと個人的に思ったのは、読む・書く・聞く・話すという基本の4つの他に、見る(view)と作る(create)が入っており、さらに、様々な媒体(media)の利用について言及されていること、つまり、デジタルな方法によるコミュニケーションも見据えられていることです。
「コミュニケーション」に含まれる要素
「コミュニケーション」には、以下の要素が含まれます。
• 様々な状況(contexts)において、口頭および書面で効果的かつ敬意をもってコミュニケーションをとる。
• 知識を得るために効果的な質問をする
• 様々な媒体(media)を用いてコミュニケーションをとる
• 目的と相手(audience)に応じて適切なデジタルツールを選択する
• 全ての見解(all points of view)を理解するために耳を傾け、共感を示す
• 先住民の言語を含む様々な言語に関する知識を習得し、カナダにおける言語の多様性の重要性を理解する
• 意見を表明し(voice)、アイディアを主張する(advocate)
• ポジティブなデジタルフットプリントを残す(create)
(藤本)「効果的」かつ「敬意をもって」コミュニケーションをとるというのが非常に重要ですね。また、「知識を得るために効果的な質問をする」というのも重要です。5番目に「共感を示す」とあります。いろいろと大切なポイントが書かれていますね。最後の「デジタルフットプリント」とは、私たちがインターネットやデジタル機器を利用する際に残していくデジタル上の痕跡や記録のことです。例えば、SNS投稿、ブログ記事、コメントなど。簡単に言えば「ネット上の痕跡」のことです。日本でも、ネット上にネガティブな(他の人の目から見て自分の評価を落とすような)痕跡を残さないように注意しましょうとは一般に言われています。カナダでは更に進んで、「ポジティブな痕跡を残しましょう。」と教えるのですね(このグローバルコンピテンシーの採否は各州が決めるので、州によって違う可能性はありますが。)。個人的に、これには目を開かされた思いです。
「コミュニケーション」に関する生徒の活動
上記の内容を生徒の活動について当てはめると、以下のとおりです。
• 生徒は、様々な媒体(media)を用いて、口頭および書面で、様々な状況(contexts)において効果的にコミュニケーションをとる。
• 生徒は、適切なデジタルツールを用いてコミュニケーションをとり、ポジティブなデジタルフットプリントを残す(create)。
• 生徒は、知識を得るために効果的な質問をし、全ての見解(all points of view)を理解を理解するために耳を傾け、自分の意見を表明し(voice)、アイディアを主張する(advocate)。
• 生徒は、先住民の言語を含む様々な言語に関する知識を習得し、言語の文化的な重要性を理解する
所感
最初に書かれている要素が「効果的」かつ「敬意をもって」コミュニケーションをとるという点であり、ここでも「敬意」が重視されているのがわかります。
また、2番めの要素として「知識を得るために効果的な質問をする」ということが書かれており、これも重視されているのだと思いました。情報は相手から与えられるのを待つのではなく、こちらから積極的に取りに行く、ということですね。
相手の話を理解するために「耳を傾け、共感を示す」というのも、非常に大切なポイントだと思います。共感を示すことで、相手がいろいろと話してくれるし、その話を相手の立場に立って考え、よく理解することができるからです。(しかも、相手との人間関係が良くなります。)
個人的には、「ポジティブなデジタルフットプリントを残す」というのが非常に印象的でした。たしかに、SNSなどを通じてインターネット上に残る自分の情報は、履歴書のようなもので、他人から検索され、見られ、評価されるものですので、「ネガティブなデジタルフットプリントを残さない」というだけでなく、「ポジティブなデジタルフットプリントを残す」ということが、今の時代には重要なのかも知れません。
次回に続きます。
元塾 藤本豪


