前回に続き、OECDのSkills that Matter for Success and Well‑being in Adulthood(成人期の成功とウェルビーイングにとって重要なスキル)という報告書(「本報告書」)について紹介します。

今回から、「成人集団における社会情動的スキルの分布状況は?」(How are social and emotional skills distributed in the adult population?)という章を紹介します。

成人集団における社会情動的スキルの分布状況は?

リンク:

https://www.oecd.org/en/publications/skills-that-matter-for-success-and-well-being-in-adulthood_6e318286-en.html

OECD (2025), Skills that Matter for Success and Well-being in Adulthood: Evidence on Adults' Social and Emotional Skills from the

2023 Survey of Adult Skills, OECD Skills Studies, OECD Publishing, Paris, https://doi.org/10.1787/6e318286-en.

原著作と翻訳の間に相違がある場合、原著作の文言のみが有効とみなされます。

年齢に関連する社会情動的スキルの差異

「社会情動的スキルは年齢とともに変化します。この変化は、脳の発達や加齢に伴う生理的変化といった生物学的要因に加え、教育、仕事、家庭生活、さらにより広範な社会文化的条件を含むさまざまな環境要因によって生じます。これらの生物学的要因と環境要因の相互作用は複雑かつ動的であり、社会情動的スキルの水準と生涯にわたる発達軌跡の双方を形作っています。」(83頁)

高年齢者は若年成人に比べ、より勤勉で協調性が高く、外向性と経験への開放性が低い傾向にある

「全体として、高年齢者はビッグファイブの領域のうち勤勉性と協調性においてより高いスコアを示し、若年成人は外向性と経験への開放性において平均レベルが高い傾向にあります。これらの傾向は、各国・地域で概ね一致しています。ただし、いくつかの例外も存在します。11の国・地域では、協調性における年齢差は有意ではありません。エストニアとポーランドでは、若年層と高齢層の勤勉性に有意な差は見られません。一方、リトアニアでは、25~34歳層が平均的に55~65歳層よりも高い勤勉性を示しています。カナダ、デンマーク、フィンランド、ニュージーランド、ノルウェー、ポルトガル、スウェーデンでは、平均的に見て、若年層と高齢層の間で外向性に有意な差は見られません。経験への開放性については、カナダ、チリ、デンマーク、フランス、ニュージーランド、スロバキア共和国において、有意な年齢差は観察されていません。」(84頁)

「若年成人と高年齢者の情緒安定性を比較すると、国によって異なる傾向が見られます。12の国および経済圏では、高年齢者が有意に高い情緒安定性を報告しており、年齢とともに感情調整能力が向上するという考え方と一致しています。一方、クロアチア、エストニア、フランス、リトアニア、ポーランド、スロバキア共和国など一部の国では、若年成人の情緒安定性の平均報告値が高年齢者よりも高くなっています。残りの国々では、有意な差は見られません。こうした国ごとの差異は、感情表現に関する文化的規範や、特定の世代の感情発達に影響を与えた歴史的出来事など、さまざまな要因を反映している可能性があります。」(84頁)

「親の教育達成度、移民背景、教育達成度などの要因を考慮した後の社会情動的スキルの調整済み差異は、調整前の差異と同様のパターンを示します。つまり、若年成人と高齢成人の間に見られる社会人口統計学的特性の差異は、これらの年齢層間における社会情動的スキルの違いを説明するものではありません。例外は経験への開放性の領域で観察されます。他の特性を調整した後、多くの国では、経験への開放性における年齢差が消失するか、あるいは逆転します。追加的な分析によれば、高年齢者の正式な教育水準の低さが、当初観察された差異の大部分を説明していることが示されています。」(84頁)

「さらに、図4.2は、年齢とビッグファイブの各領域との関係を示しています。観察されたパターンは、縦断的研究から得られた結果とよく似ています(Specht、Egloff、Schmukle、2011[3];Roberts、Walton、Viechtbauer、2006[2])。参加国および経済圏全体で平均すると、報告された協調性、勤勉性、情緒安定性の水準は年齢とともに上昇します。ただし、情緒安定性の上昇はそれほど顕著ではなく、国によって異なるパターンが見られます。経験への開放性は、すべての国および経済圏において、年齢とともに一貫して低下する傾向があります。外向性はベル型の軌跡を描き、平均水準は40歳前後までわずかに上昇した後、より急速に低下します。」(86–87頁)

ここでいったん切ります。

所感

全体として、高年齢者はビッグファイブの領域のうち勤勉性と協調性においてより高いスコアを示し、若年成人は外向性と経験への開放性において平均レベルが高い傾向にあるものの、国によってはそのような傾向が見られないとのことです。

あくまで平均の話ですが、調査結果の平均では、

  • 協調性、勤勉性、情緒安定性の水準は年齢とともに上昇する
  • 情緒安定性の上昇はそれほど顕著ではない
  • 経験への開放性は、年齢とともに一貫して低下する
  • 外向性は、40歳前後までわずかに上昇した後、より急速に低下する

とのことです。

次回に続きます。

元塾 藤本豪