3番目に、「学び方の学び / 自己認識と自己管理」(Learning to Learn / Self-Aware & Self-Directed)の定義及び内容についてご紹介します。
(出典は、カナダのCouncil of Ministers of Education(教育担当大臣協議会)による"PAN-CANADIAN GLOBAL COMPETENCIES BACKGROUNDER"です。)

「学び方の学び / 自己認識と自己管理」の定義
「学び方の学び / 自己認識と自己管理」の定義は、次のとおりです。
「学び方を学び、自己管理と自己認識を身につけるとは、学習プロセスにおける主体性(agency)を自覚し示すことである。これには動機づけ、粘り強さ(perseverance)、強靭さ(resilience)、自己調整(self-regulation)を支える姿勢(dispositions)の育成が含まれる。自身の学習能力への信頼(belief)(成長のマインドセット)と、過去・現在・未来の目標、潜在的な行動や戦略および結果を、計画し、監視し(monitoring)・振り返る(reflecting)という手法(strategies)とを組み合わせる。自己省察(self-reflection)と思考についての思考(メタ認知)は、絶えず変化する世界(ever-changing world)における生涯学習、適応能力(adaptive capability)、ウェルビーイング、そして学習の転移(transfer of learning)を促進する。」
(藤本)この定義のポイントは、個人的には2つあると思っています。一つは、姿勢・態度だけでなく手法(strategies)も併せて学ぶということ。もう一つは、世界の変化に適応するための能力と位置づけていることです。変化する世界の中で強くしなやかに生きていくための力を養うという方針が、よく表れていますね。
「学び方の学び / 自己認識と自己管理」に含まれる要素
「学び方の学び / 自己認識と自己管理」には、以下の要素が含まれます。
• 学習のプロセスを学ぶ(メタ認知)(例:自立性(independence)、目標設定、動機付け)
• 学び成長する能力を信じ(believe)(成長マインドセット)、学習の進捗を自分で監視する(monitor)
• 私的な面・教育面・職業面における目標を策定し(develop)、それらを達成するために困難を乗り越えるよう粘り強く取り組む(persevere)
• 生涯学習者(lifelong learner)となるため自己調整を行う(self-regulate)
• 思考・経験・価値観・批判的フィードバックを内省し(reflect)、学習を深化させる(enhance learning)
• 自己と他者を理解する感情的知性(emotional intelligence)を育む
• 変化に適応し、逆境(adversity)に耐える強靭さ(resilience)を示す
• 身体的、感情的(人間関係、自己認識)、精神的、心理的なウェルビーイングなど、生活の様々な側面を管理する(manage)
• 体育活動(exercise activities)への取り組み方と取り組む意義について理解し、運動のための動作スキル(movement skills)を習得する
• カナダの文脈におけるアイデンティティ(例:出自と多様性)を育み(develop)、他者や環境とのつながりを考察する
• 過去を踏まえて現在を理解し未来にアプローチする
「学び方の学び / 自己認識と自己管理」に関する生徒の活動
上記の内容を生徒の活動について当てはめると、以下のとおりです。
• 生徒は、学習のプロセスを学び(メタ認知)(例:自立性、目標設定、動機付け)、自分の学び成長する能力を信じる(believe)(成長マインドセット)。
• 生徒は、生涯学習者(lifelong learner)となるため自己調整を行い(self-regulate)、思考・経験・価値観・批判的フィードバックを内省して(reflect)学習を深化させる(enhance learning)。自分の学習進捗も監視する(monitor)。
• 生徒は、カナダの文脈におけるアイデンティティ(例:出自と多様性)を育み(develop)、環境とのつながりを考察する。自己と他者を理解する感情的知性(emotional intelligence)を養い、過去を踏まえて現在を理解し未来にアプローチする。
• 私的な面・教育面・職業面における目標を策定し(develop)、それらを達成するために困難を乗り越えるよう粘り強く取り組む(persevere)。生徒は、変化に適応し、逆境(adversity)に耐える強靭さ(resilience)を示す。
• 生徒は、運動技能(movement skills for exercise)、運動活動(movement activities for exercise)への参加のしかたと参加の意義についての理解、および、健康的で活動的な生活(healthy and active living)に対する前向きな態度(positive attitudes)を発展させる。
• 生徒は、身体的、感情的(人間関係、自己認識)、精神的、心理的なウェルビーイングなど、生活の様々な側面を管理する(manage)。
他のコンピテンシーの成長や働きを支える「学び方の学び / 自己認識と自己管理」
カナダのCouncil of Ministers of Education(教育担当大臣協議会)による「学び方の学び / 自己認識と自己管理」の説明は、以上です。
こうして読んでいると、この「学び方の学び / 自己認識と自己管理」のコンピテンシーが、ウェルビーイングのために生涯にわたって全般的かつ重要な働きをするということが分かります。
「批判的思考と問題解決」や「イノベーション、創造性、アントレプレナーシップ」のコンピテンシーも重要ですが、それらが活かされてウェルビーイングに結びつくには、この「学び方の学び / 自己認識と自己管理」のコンピテンシーが育まれていることが前提条件なのだろう、と思いました。「学び方の学び / 自己認識と自己管理」が土台となって、他のコンピテンシーの成長や働きを支える関係にあるように思います。その意味で、「学び方の学び / 自己認識と自己管理」のコンピテンシーは極めて重要だと考えています。
次回に続きます。
元塾 藤本豪


