前回に続き、OECDのEducation Policy Outlook 2025(「本報告書」)の中で特に興味深いと感じた内容を紹介します。

人生における教育上の4つの重大な節目

リンク:

https://www.oecd.org/en/publications/education-policy-outlook-2025_c3f402ba-en.html

OECD (2025), Education Policy Outlook 2025: Nurturing Engaged and Resilient Lifelong Learners in a World of Digital Transformation, OECD Publishing, Paris,
https://doi.org/10.1787/c3f402ba-en.
原著作と翻訳の間に相違がある場合、原著作の文言のみが有効とみなされます。

本報告書は、的確な政策支援が最大の効果を発揮し得ると考えられる、人生における4つの重大な節目に焦点をあてて分析、検討をしています。

  • 幼児期(0-6歳)
  • 青年期中期から後期(10-16歳)
  • キャリア中期(35-44歳)
  • 定年直前期(55-65歳)

本報告書は、それぞれにつき次のとおり述べています。(17頁)

  • 幼児期は好奇心、自己調整力(self-regulation)、早期学習の基盤を築く時期であり、この時期への投資が生涯を通じて最も高いリターンを生む。
  • 多くの国において、義務教育終了前の青年期中期から後期は、動機づけ、アイデンティティ、主体性(engagement)を形成する上で決定的な時期である。
  • キャリア中期は、スキルの陳腐化リスクと再創造・スキルアップの機会の両方を意味する。
  • 高齢化社会では、定年直前期が重要性を増しており、生涯学習は雇用可能性を延長するだけでなく、職業的・社会的包摂とウェルビーイングにも寄与する。

続いて、本報告書は、次のとおり述べています。

「OECDの調査やテーマ別研究(成人技能調査(PIAAC)、国際学生評価プログラム(PISA)、社会的・情緒的スキル調査(SSES)、幼児教育・保育(ECEC)レビューなど)からの証拠は、これらの時期に講じられた政策措置が、生涯にわたって増幅された利益を生み出す可能性を一貫して示しています。幼児期と青年期は、認知・社会・情緒的能力が特に可塑性が高く、不平等が拡大も縮小もする、発達上の転換点です。キャリア中期と定年直前期は、技術革新と役割変化により再スキル化と適応が不可欠となる、労働生活における重要な移行期です。」(18頁)

所感

幼児期(0-6歳)、青年期中期から後期(10-16歳)、キャリア中期(35-44歳)、定年直前期(55-65歳)の教育に注意を払うことが重要、ということですね。

幼児期については、「この時期への投資が生涯を通じて最も高いリターンを生む」と書かれています。幼児教育の重要性は日本でもかなり言われていますが、OECDの報告書にこのように書かれるということは、やはり非常に重要なのですね。

青年期中期から後期は、「動機づけ、アイデンティティ、主体性(engagement)を形成する上で決定的な時期」とのことです。アイデンティティの確立は、欧米の教育では非常に重視されていますが、日本の教育ではさほど重視されていないと見受けられます。この点は、日本の学校教育の課題となり得るのではと思います。

キャリア中期はスキルの陳腐化リスクへの対処のため、定年直前期は仕事年齢の延長のための、いわゆる「リスキリング」ですね。これらの時期は、学びが大変な時期です。キャリア中期は仕事も家庭も忙しい時期なので大変ですし、定年直前期は体力・気力が低下しているため大変です。これら大変な時期だからこそ、教育に注意を払うことが重要という訳ですね。

次回に続きます。

元塾 藤本豪