今回から、OECDが2025年11月28日に発行したEducation Policy Outlook 2025という報告書を紹介します。

OECDのEducation Policy Outlook 2025
2025年11月28日、OECDは、OECDのEducation Policy Outlook 2025という報告書を出しました。この報告書には、「デジタル・トランスフォーメーションの時代における、主体的で強靭な生涯学習者の育成」(Nurturing Engaged and Resilient Lifelong Learners in a World of Digital Transformation)という副題がついています。
リンク: https://www.oecd.org/en/publications/education-policy-outlook-2025_c3f402ba-en.html
OECD (2025), Education Policy Outlook 2025: Nurturing Engaged and Resilient Lifelong Learners in a World of Digital Transformation, OECD Publishing, Paris,
https://doi.org/10.1787/c3f402ba-en.
原著作と翻訳の間に相違がある場合、原著作の文言のみが有効とみなされます。
この報告書は、35の教育制度における230の政策分析、国際的な実証研究及び政策動向に基づき、各国が生涯学習政策をどのように設計・実施しているかを検証したものです。
ちなみに、35の教育システムとは、次の国・地域の教育システムです。日本は入っているのですが、シンガポールや台湾、韓国は入っていません。欧米中心の報告書といえるでしょう。
オーストリア、ベルギー(フランドル語圏、フランス語圏、ドイツ語圏)、 ブラジル、ブルガリア、チリ、中国、コスタリカ、クロアチア、チェコ、エストニア、フィンランド、フランス、ドイツ、アイスランド、日本、リトアニア、ルクセンブルク、メキシコ、オランダ、ニュージーランド、ノルウェー、ペルー、ポーランド、ポルトガル、ルーマニア、スロバキア共和国、スロベニア、スウェーデン、タイ、トルコ、英国(イングランド、北アイルランド)、米国
報告書の基盤となっている問題意識
この報告書は、次のような問題意識によって書かれたものです。
「急速な技術革新、社会変化、そして長寿化が進む現代社会において、人々は生涯にわたり学び、学び直し、そして新たな知識を習得し続けなければなりません。しかしながら、数十年にわたる教育改革にもかかわらず、初等教育以降の学習への参加率はほとんど向上していません。OECDの調査データによれば、多くの国々において成人学習への関与は停滞したままであり、学習成果は低下あるいは横ばい状態が続いています。
単に教育機会を拡大するだけでは不十分です。生涯学習者を特徴づけるのは、以下の三つの要素を活用し、自らの学習を主導し持続させる能力です:
- 意志 – 学び続けるための好奇心、自信、目的意識
- スキル – 新たな知識を獲得し応用するための認知的、社会的、デジタル的基盤
- 手段 – 学習参加を可能にする時間、資源、ネットワーク」
人生における教育上の4つの重大な節目
この報告書は、個人が特に学習を受け入れやすい、あるいは学習意欲を失うリスクが高い、そして的確な政策支援が最大の効果を発揮し得ると考えられる、人生における4つの重大な節目について書いています。
その節目とは、次のとおりです。
| 幼児期(0-6歳) | 生涯学習の基盤を築く時期 |
| 青年期中期から後期(10-16歳) | 自分自身の存在意義や価値観を定義し始める時期 |
| キャリア中期(35-44歳) | 仕事と家庭など複数の要求に直面しながら、スキルアップや再スキル化を必要とする時期 |
| 定年退職が近づいた時期(55-65歳) | 離脱リスク、スキルの陳腐化、労働市場からの排除といった課題に直面する時期 |
所感
「生涯学習」と聞くと、私(藤本)なんかは「一生学び続けなければならないのか。」という息苦しさと負担を感じてしまいます。でも、逆に言えば、学び続けることによって人生を切り拓き続けることができるということです。なので、そういうふうに前向きに捉えたいと思います。
次回から、この報告書の内容のうち特に興味深いと感じた内容を紹介します。
元塾 藤本豪


