前回まで、英国の教育改革の内容を紹介してきました。

今回は、まとめです。

問題意識

今回の英国の教育改革は、「急速に変化する世界で生き抜き適応するために必要な基礎的な知識や技能を身につけることなく学校教育を離れていく若者が多過ぎる」という問題意識からなされたものです。

教育改革の概要

今回の教育改革の概要は以下のとおりです。

  • 世界をリードするカリキュラム(world-leading curriculum)を構築する
  • 芸術教育の改善
  • 全国共通カリキュラムを、完全にデジタル化され、容易に閲覧可能な形で作成する
  • 全ての子どもの水準を引き上げる(Deliver high standards for all)
  • 変化する世界における人生とキャリアに向けて若者を育成する
  • 説明責任(accountability)と評価の改善
  • 16歳以降の英語と数学
  • 16~19歳の教育の改革
  • 学校および教員が新カリキュラムに対応できるよう、十分な準備期間を設ける
  • すべての子どもに充実プログラムの権利(enrichment entitlement)を提供する

実施時期

2028年9月からの初年度授業で全面実施される予定であり、英国政府は、2027年春までに最終改訂版を公表することとされています。

所感

今回の教育改革には、英語と数学の強化(幼児期の教育の強化を含みます。)に加え、芸術教育や体験プログラム(enrichment)の強化・拡張も含まれています。(「体験プログラム」(enrichment)とは、市民活動、芸術・文化、自然・アウトドア・アドベンチャー、スポーツ・身体活動、幅広い生活スキルの育成などを含む、多様な活動を指します。)。

また、金融リテラシー、デジタルリテラシー、メディアリテラシー、気候変動教育、口頭表現力も重視されています。

これは、学問的な面を引き続き重視しながらも、社会の変化を踏まえ、学問以外の面を強化してバランスを図ろうとするものと理解しました。

となると、カリキュラムオーバーロードへの対処が気になるところですが、今回の政府文書には、その点に関する言及はあまりなく、「教師がすべての内容を均等な深さでカバーしようとすることで、カリキュラムの過負荷(overload)を招くおそれもあります。」(P13)といった記述があるぐらいです。教えるときにメリハリをつけることでカリキュラムオーバーロードを防止するという趣旨と思われますが、それが適切に実現されるような仕組みができるかどうかが、一つの鍵になりそうだと思いました。

これで、英国の教育改革についての紹介を終わります。

元塾 藤本豪